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 流動食や飲料を満喫できるようになったとはいえ、いまだに上下の歯は固定されたままです。歯の表面は磨くことができますが裏側は当然磨けません。舌で触ると歯がザラザラしていてさすがに虫歯の心配が出てきます。それもそのはず、私は前回の入院で虫歯を作ったのです。糸で傷口を縫ってあったため、その付近の歯はあまり強く磨かないようにしていたのですがそのせいでがっつり虫歯ができてしまいました。虫歯ができてもここは歯医者ではなく口腔外科。似ているようですが全くの別物です。何もしてくれないので虫歯の管理に関しては自分で注意するしかないんですね。そんな前回の反省もあって、うがいだけは気を付けるようにしていました。

 

 地味に不便だったのが舌を出せない事でした。唇を舐められない。スプーンも舐められない。あくびは噛み殺すしかない。しかしそんな状況も1週間ほど続けば慣れてくるものです。その気になれば言語でのコミュニケーションもできはするのですがそこは完全に諦めてiPhoneのメモ機能で要望だけ伝えていました。

 

 このあたりになってくるとさすがに余裕も出てきて病室の患者さんの様子が見えてきます。私が入っていたのは4人部屋でした。歯科の入院患者は私だけらしく、他の患者は泌尿器の人が多いようでした。うち2人は糖尿病関連らしく、1日3回くらい血糖値の測定をしていました。指に針を刺して出血させて測るらしく、カーテン越しとはいえ私まで恐ろしくなってくるようです。

 

 糖尿病と関連するのかはわかりませんが、みなさん体格がとてもよかったです。そのせいか暑がりで、エアコンの設定温度が常時とても低く設定されていました。私がこっそり28度くらいに直しても少し目を離した隙に23度くらいまですぐに下げられてしまうのです。まじで今すぐ出ていけと思いました。犯人は分かっていて、私の向かい側の人でした。その人はなかなか曲者で、いつも食事が終わると満足そうなゲップと水っぽい屁をするのです。まじで今すぐ出ていけと思いました。あとは独り言が異常に多い人もいて、今回の病室は本当に治安が悪かったです。前回は6人部屋でしたがその時はびっくりするくらいみんな静かだったので落差に驚きました。あまりそこらへんに腹を立てても仕方ないのでイヤホンを突っ込んでノイズキャンセル全開で過ごすしかありません。

 

 ここらへんからは持ってきた本を読むことができるようになってきました。そこで、今回持ち込んだ電子書籍が活躍します。思うに、入院生活と電子書籍の相性は抜群なのです。まず第一に寝転がったまま本を読むことができる。第二に本を何冊詰めても荷物が増えない。第三に手持ちの本が尽きてもネットがつながってさえいればワンクリックで買い足せる。まさに入院のお供であるといえます。

 

 本棚を持ち歩けるというよりは店ごとポケットにねじ込めるといった方が正確でしょう。もちろん紙の本もいいとは思いますが利便性ありきで考えるならどうしても電子書籍に軍配が上がると思います。作家さんがサインを書いてくれるならまた話は別ですが。そんなこんなでいろいろ買い足していたらクレジットカードの請求とスマホの通信料が大変なことになっていましたが書を読む快楽には勝てないので仕方ないです。データは溜めこんでも床をぶち抜かないのですから。